現代社会の中で問題視されている自律神経の乱れ
近年、「自律神経失調症」という言葉をよく耳にするようになりました。自律神経が乱れると体に悪影響を及ぼし、様々な不調が現れるようになります。場合によっては、普通に日常生活を送ることが困難になることもあります。今回は、この自律神経とその乱れの原因と、青汁が自律神経の乱れに有効な理由と効能について解説いたします。
自律神経と自律神経の乱れ
自律神経とは?
自律神経とは、血管やリンパ腺、また内臓などの自分の意思とは関係なく働いている組織に分布されている神経系のことを指し、自律神経は絶えず活動しています。代謝や循環、呼吸や消化など自分の意思とは関係なく生命活動の維持を行っています。また、その調節もしてくれています。
自律神経が乱れる原因とは?
アルコールや薬物の過剰摂取や、著しい精神的な負荷、また女性においては更年期などのホルモンのバランスが乱れることなどが原因となり、自律神経の乱れは引き起こされています。
自律神経を調整する機能が遺伝子的に乱れている人も存在するので一括りにはできませんが、自律神経の乱れからの様々な病状を訴える人の半数は日常の生活においてストレスがあるといわれています。
自律神経が乱れる時に体内では何が起こっているの?
人の神経活動には活動する際に活発に働く交感神経と、休息やリラックスする際に活発に働く副交感神経があります。必要に応じて働く神経の状態が変化し、交感神経と副交感神経のバランスが保たれることが健康な状態です。人の体の中では、交感神経と副交感神経の優位になる状態が約12時間ずつで入れ替わるといわれています。
しかし、ストレスや過労などにより脳を休める時間が減少すると神経は興奮状態になり、その結果交感神経と副交感神経が適切に優位に働きあうバランスが崩れるなど、何かの原因で2つの神経の活動バランスが乱れることがあります。そうすると、睡眠をとる必要がある時なのに交感神経が活発になり発汗や興奮し眠ることが困難になったり、活動が必要な時に副交感神経が活発になり無気力になったりします。
これが日本では自律神経失調症と呼ばれ、自律神経が乱れている状態を指します。脳の視床下部に自律神経の中枢はあります。脳の視床下部は、辺縁系(怒りや不安などの中枢)と相互連絡をしています。ですから、精神的な問題の関わりがみられます。
自律神経の乱れが引き起こす病気と症状
自律神経の乱れが引き起こす病気とは?
自律神経失調症という病気は、日本においてよく知られています。うつ病や身体表現性障害、パニック障害や頚性神経筋症候群、また過敏性腸症候群などが原因として認められているケースが多いです。そのため他の国々では、自律神経失調症は病患名ではなく、うつ病や神経症などに関係して現れてくる様々な種類の病状をまとめて呼ぶものとして一般的に認知されています。
また、原因の病気が特定することが難しいケースにおいても、ストレスがその要因である可能性が高い理由から、適応障害と診断されるケースも多いです。その他にも、癌などの病状の中にも似たような症状が出ることもあります。
また、原因の病気が特定困難な場合に内科の医師が患者を納得させるためにつけている病名であるという見方もあります。そのため、自律神経失調症であると診断された時には、総合診療の医師に受診し診断をしてもらうことがおすすめされています。
どのような病状があるの?
自律神経の乱れから起こる病状には、身体症状と精神的な病状の2種類があげられます。
身体的な病状
身体的な病状には、めまいや急な立ち眩み、耳鳴りや体の一部が震えたり、冷や汗が出たり、動悸が起こったりします。また、激しく血圧が上下したり、朝が起きられなかったりします。吐き気や頭痛、過呼吸や微熱、不眠や倦怠感、味覚の障害や生理不順なども起こるケースがあります。
精神的な病状
精神的な病状には、不安やイライラするなど情緒が不安定になったり、鬱状態に陥ったり被害妄想などの症状も現れるケースも多いです。自律神経の乱れが引き起こす病状とその病状の強さは人によって異なります。 例えば、特定の病状のみが強く表れ、その他の病状はあまり強く表面化しないなど症状の表れ方が様々なため判断が難しいケースが多々あります。
青汁の摂取が自律神経に与える影響
総コレステロールとLDLコレステロールの低下
青汁を摂取すると、総コレステロールとLDLコレステロールの低下がみられました。コレステロールが高いと、血流が悪くなり体温が低くなります。体温が低い人は、交感神経が必要以上に活発になっている危険性が高いです。
この状態が長期間続くと、耳鳴りやめまい、頭痛や腰痛、肩コリや手足のシビレや冷えなどの症状を招きやすくなります。 また食欲不振、不眠症などの症状にもつながります。このような体の環境は、自律神経を乱す原因になるのです。そのためコレステロール値が高い人にとって、コレステロールの低下は自律神経を整える働きが期待できます。
n-3/n-6多価不飽和脂肪酸比率の増加
青汁の摂取により、n-3系多価不飽和脂肪酸の構成の比率とn-3/n-6多価不飽和脂肪酸の比率の増加が確認されました。n-3系脂肪酸は、血液中の中性脂肪を下げます。また、不整脈を予防し、血液をサラサラにします。そして、動脈硬化を防ぐことも分かっています。血液の流れが滞ると、先ほど述べたように自律神経の乱れを引き起こす原因になります。
ですから、血流をスムーズにすることは、自律神経の働きを正常に保つ働きを助けます。日本人が体内に摂取しているn-6系脂肪酸の主な成分はリノール酸です。必須脂肪酸にリノール酸は含まれます。過剰摂取は炎症(アレルギーなど)に関係するので適度な摂取が必要です。
α-リノレン酸の増加
青汁の摂取により、α-リノレン酸も増加します。アメリカの研究で2011年に発表された調査では(50,000人以上の女性のみ対象とし10年以上行われた)α-リノレン酸を多く摂取し、また同時にリノール酸の摂取を減らすことは、うつ病を発生させる割合の減少効果が認められました。
そして、α-リノレン酸を体内に摂取すると、心血管疾患のリスクも軽減するという報告もあります。うつ病は、自律神経の乱れとの関係も深く、心血管疾患はスムーズでないことが原因となります。うつ病や心血管疾患に効果が見られるということは、自律神経においても有効であるといえます。
エイコサペンタエン酸(EPA)の増加
青汁の摂取により、エイコサペンタエン酸(EPA)も増加します。研究でエイコサペンタエン酸(EPA)の摂取により、脂質の代謝や血液凝固異常において改善が認められました。1日に4g以下のEPA、またDHAを体内に摂取すると、LDLコレステロールの値が5%–10%、中性脂肪の値が25%–30%低下することが分かりました。
これは先ほど述べたように、コレステロールの値が高い人にとってコレステロールの低下は血流に良い働きをもたらします。また、別の研究では、1日に2700mgのEPAを8週間に渡って摂取することにより、本態性高血圧の患者において収縮期の血圧が低下みられました。
血圧が推移する時、心臓による働きが大きく影響しますが、自律神経も呼吸や心拍数などを維持し、血圧をコントロールする役割を果たす一つの機能として知られています。交感神経が優位に働く時、末梢血管には収縮がみられ血圧は上昇します。
高血圧とは、このように交感神経が優位に働きすぎ、その時間も長くなるため自律神経の乱れを引き起こす原因となります。しかし、EPAの摂取により高血圧の人の血圧低下が確認されたことから、交感神経だけが優位に働くことが減ります。その結果、交感神経と副交感神経のバランスがよくなり自律神経の働きに良い影響を与えます。